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仙台高等裁判所 平成3年(日記)10395号 決定 1991年12月02日

特別抗告申立人 甲野太郎

同代理人弁護士 池内精一

主文

本件執行の停止をしない。

理由

民訴法第四一八条による執行停止は職権によるもので、当事者には申立権はない。したがって、本件申立ては、当裁判所の職権発動を促す趣旨の申立てと解されるが、反対説もあるので、当裁判所の判断を示すこととする。

一件記録を精査して、申立人が本件特別抗告において主張するところを検討してみるも、申立人は、本件賃貸借が工藤朝巳の仮差押に遅れ、競売手続による本件建物の売却によって申立人の本件賃貸借が失効し、本件建物を明け渡さなければならなくなるのを見越しあるいは予測し得る状況にあったにもかかわらず、敢えて必要費や有益費を支出したものと認められ、申立人の本件賃貸借及び占有によるこれら費用の支出は執行妨害に外ならず、これにつき民法二九五条二項を類推適用して、申立人は留置権を取得し得ず、買受人に対し対抗するに由ないと認定判断したことに誤りはなく、したがって、本件引渡命令の執行を停止すべき理由も必要もないものと思料するので、強制執行停止はしないこととする。

(裁判長裁判官 三井喜彦 裁判官 齋藤清實 小野貞夫)

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